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2011年4月22日 (金)

日共の原子力政策史考

 タイトルに「日共の原子力政策史考」と記したが、本意は「日共の原子力政策転換史考」である。現在の反原発姿勢を顧慮して敢えて穏和に表記した。気になって仕方がないことがあるので以下、確認しておく。

 案外知られていないが、日共の原発政策史は現在の言行と1970年代のそれは一致しない。1970年代前半までの日共は、原子力利用政策に対してそれ自体に反対ではなく、むしろ容認してきた形跡が認められる。その昔、この問題を廻っても「原水禁」と「原水協」が対立した。社会党系の「原水禁」が反対姿勢を打ち出したのに比して、日共系の「原水協」はむしろ協力的姿勢をとった。これが史実である。

 当時の日共は、政府の原発政策に対し、「民主・自主・公開の三原則が守られればこれに賛成する。民主的規制の元での慎重な開発を期待する」、「原発は核武装化には使用させない、平和利用であればよい。民主的政権であれば軍拡に使うことはない」という態度をとった。それは、政府・電力資本の原発政策を裏から容認するもの以外の何物でもなかった。肝腎なところで果たす宮顕ー不破系日共党中央の「左」から果たす役割がここでも透けて見えてくる。ここが確認したい。これが本稿の執筆趣意である。こういうところを踏まえないと正確な日共論が生まれない。

 日共の1970年代の原発政策論が開示されれば、在りし日の原発容認姿勢の日共が確認できるのだが、この党は宮顕系党中央以来、かっての理論、政策等の資料を隠匿する癖がある。サイトにも当時の政策が出てこない。よって、れんだいこの記憶を辿ることにする。思い出すのに、物理学専攻を吹聴する不破が大きく写真付きで登場し、得々と「何でも反対の社会党と違うところとして原発政策容認」論をぶっていたと記憶する。

 このことは、「反原発を訴えていた日本社会党と差異化を図り、距離をおいていた」、「日本共産党は、民主的・平和的な原子力であればよいという路線で、原発反対派の日本社会党・原水禁に対抗してきた」と他の方が記しており裏付けられる。れんだいこの記憶とも一致する。

 いつの国政選挙だったか忘れたが、新聞紙面に各党の政策対照表が紹介されており、その中でもこのことが詠われていた。「さざなみ通信」の2011.3.22日付け投稿「
共産党の原子力政策の変遷について」が次のように証言している。「今の原子力は危険だ。しかし、今の技術水準をそのまま将来に延長して、原子力の潜在的な可能性まで否定すべきではない。原子力には夢も希望もある。正しい研究開発をすれば、科学の発達は無限だから、安全に原子力を利用できるようになる」、「原子力発電を禁止することは国民の間に意見の一致ができていないと主張していた」。ということは、いまどきの「共産党と社民党以外、みんな原発推進だね」なる言は、歴史検証に耐える言ではなく素人のそれであることになる。

 チェルノブイリ事故後、反原発機運が高まった。「原子力は現段階の科学に於いて制御不能なものであり、この状態での開発は許されないのではないのか、余りにもリスクが大きすぎるのではないのか」との疑問が広まった。これにより、日共的な「自主・民主・公開の三原則の下での民主的規制による開発促進政策」にも疑惑が向けられるようになった。日共は当初は、チェルノブイリ原発事故を発端とする1980年代後半の反原発運動に対して「非科学的」と批判していた。原子力の平和利用を理由に、チェルノブイリ事故直後の時点までは推進派の立場を堅持していたことが分かる。
 
 日共がいつ原発に消極的な姿勢を示すようになったのか、これがはっきりしない。「左翼政党は、基本的政策を転換するときには激しい議論が行われ、時として組織内の対立まで起きるような種類のものだが、日本共産党の原子力政策についての路線変更が全く不明確であり、痕跡もなくなっている」(「
原発事故雑感」)とある通りである。そういう意味で、いつの時点からかは不明であるが、日共は原発反対スタンスに転換した。それはまことに結構なことである。

 良くないのは、その際にいつもの通りで自己批判が一切ない。昨日までの政策に口を拭い、翌日から何の断りもなくコロッと方針を替えて憚らない。日共理論のヌエ性、姑息性がここでも確認できよう。現在の日共は、「いかなる国の核実験反対」への転換と同様に過去の原発容認政策に頬かむりしたまま「昔から反対でした」的にすり替えている。

 今日では次のように述べている。2011.4.1日付けの赤旗の「原発の危険を告発 国民の命守る日本共産党(上)」は早くも次のよう述べている。「1976年1月、日本共産党の不破哲三書記局長(当時)は、『原子力は本来、危険性をはらみ、未完成の技術だ』と指摘。そのため『原子力開発に取り組むには、今日の技術が許す限りの安全体制をとらねば非常に危険なことになる』という根本問題を指摘していました。当時、政府は4900万キロワット、約50基分の原発大量増設計画を開始。日本共産党は安全最優先の立場から、無謀な原発大量増設計画に反対してきました」。以下、不破が如何に原発政策に反対してきたかを縷々述べている。

 次のようにも述べている。「福島原発が爆発事故を起こし、放射能を振りまいている問題で、この危険性を日本共産党国会議員団は、繰り返ししてきました。 詳しくは、共産党のホームページから吉井秀勝衆議院議員のページに入れば、国会での質疑を見ることが出来ます」。かく、いかにも昔からの原発反対の音頭取りのような顔をしている。拉致事件の際の論理論法と同じである。風向き次第でケロッとして口を上手に廻し新しい状況に合わせている。

 日共式原発論を仔細に見れば、そういう過去の痕跡をとどめていることが分かる。日共の原発反対論の比重は危険性反対論であり、原発そのものの反対論ではない。要するに「大丈夫な原発推進論」と云うべきしろものである。これが日共の原発論の本質である。ところがその後、代替エネルギー論が登場してきた。こうなると次のように云い始める。「再生可能エネルギーの開発・利用を広げ、原発依存のエネルギー政策を転換します(2010年7月、参議院選挙政策より)」。適当な論文か過去の質疑を持ち出して、代替エネルギー論の昔からの旗振り役の顔をしている。かなり作法が悪いということになるのではなかろうか。

 本稿の締めくくりとして、あるべき原発論を確認しておこう。我々は、原発政策そのものに反対である。なぜなら、福島原発事故が次々と明らかにしているように、稼働中の原発が天災、事故等に遭うことによる大気中への放射能漏れ危険性、平素からの放射能汚染冷却水の外部排水による海洋汚染の危険性、何より最終核廃棄物の原始的な地下格納庫処理方式の余りにも杜撰な危険性等々の問題があるからである。

 これらの問題に未解決なままの原発稼働は狂気の沙汰と云わざるを得ない。これらによる水脈汚染、土壌汚染等の被害は長期化且つ広域化するものであり、将来に取り返しのつかない負荷を抱えていることになる。「大丈夫な原発推進論」などは有り得ない。如何なる堅固な原発も軍事攻撃には耐えられない。これらを思えば端から手を染めぬのが賢明であり分別というものであろう。

 原発反対派の「広島長崎の原爆を経験している日本が、原発政策を推進するのはナンセンス」なる主張も良いが、それは情緒論である。我々は、そういう情緒論のみならず以上のような唯物論的な論拠によって警鐘乱打している。これが我々の原発論である。

 一刻も早い代替エネルギーへの転換こそが国策となるべきであり、その新技術を廻る競争こそが近未来の科学競争である。原発のように自然の摂理に反するのではなく、自然の摂理をうまく応用した科学に転ぜねばならない。ここに科学の質の歴史的転換がある。科学を云うならば、こういう科学競争に向かわねばならない。

 2011.4.22日再編集 れんだいこ拝

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コメント

日共がカクの如きご都合反原発とは思いませんでしたが、其のぐらいのことと想定しておりました。今世紀の遅くない時期に政権をとるらしいですから政権掌握の暁には原発を受け入れることもありえるわけですね。
 現在に生きる我々は、健全な国土と遺伝子を後世に伝える役割を負っていると思うのです。
 現在の核廃棄物何万トンを六ヶ所村其の他各地に埋設しようがどうしようが末代には沸いて出て遺伝子を破壊し国土を汚染尽くします。即刻原発の運転を止めるべきです。

投稿: sizimi | 2011年4月23日 (土) 12時42分

こちらへ失礼いたします。

「アホ国会は9時5時週休2日のアホお役所か?」

>>http://c3plamo.slyip.com/blog/archives/2011/04/post_2047.html
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
>警戒区域だから危険、そうでない地域は安全だと単純に言い切れないほどの放射能汚染が広がっているのに、政府はいまだその全体像をあきらかにしてません。
明らかにすることもなく、公権力を行使しました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

非常事態宣言も出していない非有事の平時態勢下で政府が国会決議も無く国民の自由な移動を政令で強制的に制限すること自体が憲法違反の特別公務員職権乱用および行使執行すれば暴行凌虐となる。最高裁はただちにこの政府通達を違憲立法審査し、国会は直ちに違憲通達行政内閣を粛々と弾劾解職せよ。

また福島第一原発から事故で炉外へ漏出した放射能に被曝した被災国民は直ちに東電と保安院に対して業務上過失致死傷罪で刑事告発し同時に民事でこれまでに受けた損害全額について慰謝料上乗せして損害賠償請求訴訟を起こせ。

対米隷属小泉内閣以来政府を乗っ取ってのさばる憲法犯罪者法匪霞ヶ関官僚政治を日本国憲法にのっとってすみやかに断罪せよ。
こいつらの後押しを受けた戦争の犬米軍は今日もリビアで日本国憲法が世界へ向けて放棄宣言した武力を用いて軍事侵攻を続けている。

小泉型対米隷属法匪官僚による米占領軍ファッショ政治を地位協定破棄国会決議で対米独立達成して日本国内から一掃せよ。

投稿: 通りがけ | 2011年4月23日 (土) 12時58分

sizimiさんちわぁ。「現在に生きる我々は、健全な国土と遺伝子を後世に伝える役割を負っていると思うのです」は素晴しい精神と思います。ところが今は逆のことばかりしています。これが偶然ならまだしも悪いシナリオに沿って意図的故意に誘導されているとしたら。我慢なりませんねぇ。

投稿: れんだいこ | 2011年4月23日 (土) 19時39分

「ジャーナリズムは現場の事実取材を理性で組み立てる作業からのみ生まれる」

日本のマスメディアが持たない理性=ジャーナリズムがここ長周新聞にだけ存在する。理性が働けば真実は一点に収束する。

>>http://www.h5.dion.ne.jp/~chosyu/index.html

最近の主な記事
  
<論壇>国民に復興財源出させる火事場泥棒の米国と財界 (4月22日)

生産者主人公の国作りに活路 被災地の現状と立直し課題 (4月20日)

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南相馬市と飯舘村の農家 故郷捨て原発難民にはなれぬ (4月13日)

福島原発被災民 見通し立たぬ避難に怒り充満 (4月11日)

原発震災の現地からの報告 放射能で周辺漁場が大打撃 (4月8日)

投稿: 通りがけ | 2011年4月25日 (月) 01時27分


>>http://d.hatena.ne.jp/dokuhebiniki/20110424/1303618256
で孫正義氏への批判意見を見たので紹介する。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1. 2011/04/25 01:11 ソフトバンクの孫氏の巨額な寄付は携帯電話で一番無能を出したのがソフトバンクの携帯電話と報道されました。売名行為です。被災地の高校生や中学生に無償でプレゼントをする報道もありますが、美談ではなく偽りの美談です。au(KDDI)は
KDD(国際電話)+稲盛和夫のDDIが合併をして誕生しました。無料で配る事は可能ですが、商売としておかしいのでやらないでしょう。NTTドコモは法律(NTT法)で禁止されているので・できません。孫氏は平成9年ごろにテレビ朝日の株を朝日新聞社に高額で売却をしています。かなり話題になりました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2. 2011/04/25 02:47 孫氏は商工中金も売却しないという約束で引き受けておきながら結局、約束を破り売却しました。(あおぞら銀行)どんなに便利で使い易いかもしれませんが大事な通信手段をソフトバンク系に委ねたくはしません。
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auやdokomoなど電波利権総務省談合詐欺電話会社は7月からの電話帯域の切り替えが遅れて自社が投入した新機種が損失を出すことがいやで追随しないだけである。
被災者のために無料通話用の旧式機を配れば新機種への強制切り替え官製談合商売の目論見が大きく狂うからね。
ちょうどテレビの地上波デジタル放送全国強制全面切り替えが被災地3県ではできなくなったように。

たしかに孫氏もかならずしも純粋に商売抜きで無償配布配信しているわけではないが、他の官製談合電波利権癒着利益至上主義の電話業者に比べればはるかに公共の利益電話使用者国民の利便向上につくす電話業者として優れている。まず第一に顧客のニーズに柔軟に全力でこたえるのが公共インフラに携わる業者の武士道でありノブレスオブリージュである。

対して最も国民の利便向上のためだけに尽くさなければならない公僕としての責務を負う総務省行政の、電波利権汚職談合随時契約(NHKおよびau&docomoとの不公正取引)は国民と国家に対する叛逆行為そのものである。総務省の課長以上の役職公務員をすべて公務員法違反公正取引法違反で全員摘発逮捕全員懲戒罷免しなければならない。同時に総務省の違法行政である地上波デジタル全面移行と携帯電話帯域変更を直ちに破棄中止する。官製談合にかかわったNHKおよびau&docomoの利権提供者企業経営陣には公正取引法違反および贈収賄罪で刑事処分民事処分を科す。さらに公正な競争を阻害する憲法違反のNHK放送法を直ちに破棄し、NHKテレビ部門を経営陣総入れ替えして民間会社化する。

総務省に限らずすべての霞ヶ関省庁は全身官製談合行政汚職犯罪組織でありそれ以外の何者でもない。また「司法」と詐称して霞ヶ関官僚と法務省職員公務員だけで組織される最高裁という「行政機関」は法匪の法匪による法匪のための匪法機関である。霞ヶ関は検察という法匪の飼い犬をけしかけて国民を匪法最高裁で冤罪有罪判決し投獄することを常習している人権無視国家機関でもある。

霞ヶ関が日本国憲法を無視して恥じることが無いのは、在日米軍の治外法権にべったりと癒着して「思いやり予算」という賄賂献金で自分の後ろ盾についてもらっているからである。

霞ヶ関法匪官僚が恃みとする在日米軍の日本国土内治外法権は日本国憲法の埒外にあり、二国間条約である日米安保条約のうちの地位協定規定に基づいている。

地位協定は人権上の不平等条項のみで成り立っており、これを直ちに破棄しても安保条約上何の問題もないことは国連の人権監視委員会の査察を受けるまでも無く独立国家同士の共通認識国際法上の常識である。

霞ヶ関を解体再建するためには地位協定破棄=対米独立が絶対必要条件である。日本が国難から復興するためには霞ヶ関解体再建が絶対必要条件である。

対米独立するためには国会で地位協定単独破棄決議するだけで必要十分条件が満たされる。独立不羈の日本復興のリーダーたらんという気概ある国会議員はただちに地位協定破棄可決動議を衆議院へ提出せよ。

投稿: 通りがけ | 2011年4月27日 (水) 10時28分

れんだいこさん、おひさしぶりです。3.11から日本国内は絶体絶命の非常事態になったような気がします。上の通りがけさんのコメントが私のブログにも時々書かれていますがとても頷ける筋の通った意見に共感を覚えています。一刻もはやく菅殺人政権を引きづりおろしたいのになかなかそのようになりません。どうしたらいいのでしょうか。

投稿: 松本哲 | 2011年5月17日 (火) 04時36分

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