« 【「大田龍の食べ物学」考 | トップページ | 5.15事件と2.26事件の相似と差異考 »

2011年6月 2日 (木)

昭和7年総選挙に際しての犬養首相演説

昭和7年総選挙に際しての犬養首相演説レコード」が残されており、これを筆録しておく。

http://www.youtube.com/watch?v=gR4nVdEF1DE

 「我々が、このたびの選挙に臨んで、自分の主張を述べ、これに対するところの反対の党派の主張と、この間に全国民において公平なる審判を下されることを求めなければならない。我々の主張を大別して、ごく簡単にこれをひっくるめて云えば、応急の問題と根本の問題との二つに分かれる。応急の問題が何であるかと云えば、他に対しては満州の事変を如何に解決するのか。こういうことが一つ。それからまた内にあっては、現在の不景気を如何にしてこれを不景気を回復するのか、活気を与えるのか、これが応急の問題であります。

 それから根本の問題としては、他においては隣国、シナに対して、全体の国際関係を如何に改善するのか。この根本が定まらなければ、僅かに満州の問題が治まったと云って、隣国の関係が治まるものではない。それ故に、この根本をどうするかということについては我々は多年の研究と抱負を持っておる訳で、これを行いたい。

 それから内に向かっては、現代の不景気をどう挽回するかという応急問題だけでは仕方がない。根本から云えば、産業政策の元になる**いかにして日本の産業を振興し得るか。また如何にして日本の産業を統制し、もう少しこれを合理的に発達させることができるか。これが根本の問題である。

 それから一人それのみではない。長い維新60年間の間に殆ど不規律不統制に発達した全てのもの、全てのものといえば何であるかと云えば政治組織、これを改めなければならない。執務の取り方、もう少し簡易にできる。全てこのひっくるめて云えば、行政、財政の根本的立て直しを行わなければならぬ。これが政府の側である。政府の側ばかりではない。民間全体の全てのものに向かって、大革新、大覚醒を行わなければならぬと云う時期が当然来ている。

 それをこれまでの如くに姑息にただ移されてはいつまでたってもこの形勢は治らんのであります。それ故に、我々は、今後の解散と云うことは決して好まない。解散の一番必要な**というのは全てのものを安定させる。政府も無論これに於いて基礎を安定させる、一人政府ではない、エェ内にあっては全ての事業に着手するものが、このままこの政府の方針の通りに行くんであれば、又元へ帰って前内閣のようになるんであるかと気がかりの間は思い切って着手ができない。それ故に、ぜひともここで安定させるということが必要。

 一人それのみではない。エェ隣国の関係を根本的に定めようと云えば、従来のごとき方針ではとても相手になる訳のものではない。それ故に現代の内閣がいつまで続くんであるか、この方針なら自分も考えようがあるということは確かにこの隣国も考えておるのであるから、どうしてもこれに向かっての基礎を定めることが必要である。

 如何なる仕事においても、決して半年や一年で完成するものではない。どんなに少なく急速力でやっても、4年間もしくは5年間かからなければ一つの政治が完成すると云うことはできない。いわんや60年間続いて、楕力に楕力で重なっていたと云うこの***新たな仕事を始めるというのは少なくとも4、5年はどうしてもかかる。それ故に、我々は全国民に訴え、この日本の体制、全てのものの衰えておると云うこの老朽した日本に活気を与える為には、諸君は大奮発をして我々に援助をせられることを求める。

 これは極めて明瞭であります。現内閣が行っていた通りにしたならば日本の産業はどうなる、日本の外交はどうなる。これを考えて、我々が現在主張するところのものに解消したならば、いずれが是であり、いずれが非であるかということは最も分明にこれは判断できられるものであるから。私は謹んで全国民に向かって、この公平なる審判を下されるということを私は求めるんであります。諸君は国の為に非常な大努力をせられんことを希望いたします
」。

 この「昭和7年総選挙に際しての犬養首相演説」がどう大事なのか、それは一つには政治に対する真面目さが溢れていることが見てとれるからである。当時の日本は現在の日本よりもなお一層困難な政治課題を抱えていた。一つは外の満州事変であり、もう一つは内の国内不景気であった。両者が相呼応して混迷の度を増しつつあった。

 犬養首相は、待ったなしの局面で迫り来る大国難に身命を賭し、外の平和、内の景気振興に向けて見識高く懸命に対処せんとしていた。このことが分かるのが上述の「昭和7年総選挙に際しての犬養首相演説」である。御年77歳の高齢の身であった。「5.15事件」のほぼ半年前の肉声である。

 2011.6.2日、内閣不信任決議を一蹴して安堵した菅首相への煎じ薬として与えておこう。気に入った文句を見出して政権延命に活用するのも良かろうが、政治に対する真摯な思いを嗅ぎ取って貰った方がなお良い。政治事象を論理的に分析し判断しているサマを感じ取っていただければ十分である。

|

« 【「大田龍の食べ物学」考 | トップページ | 5.15事件と2.26事件の相似と差異考 »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

ご無沙汰いたしております。今日は持論を書かせていただきたく参上いたしました。非常事態につきご容赦いただきとう存じ上げます。
ご吟味よろしくお願いいたします。とおりがけ拝

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
地位協定破棄だけが国会にしかできない国会の仕事である。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アメリカが65年前に日本にはめた首輪である日米地位協定を一刻も早く破棄して全世界に日本の独立自決を宣言するべきだな。そうすれば思いやり予算を全額復興資金へ回せるし、復興資金を作るため米国債を全額売り払って円高誘導して原油を大量購入することも自決自裁の独立国日本国の自由である。

投稿: 通りがけ | 2011年6月 4日 (土) 03時05分

松木けんこう氏は一人新党を作れ。
個人献金だけを全国から集めて党資金とすればよい。
どうせ早晩解散総選挙になる。そのとき現政党の候補者を一人も入れないまったく新しい無所属新人だけで新政党の候補者を公募し、「地位協定破棄」「東北大震災非常事態宣言」「「全国原発一斉無期停止」「消費税増税禁止・TPP参加無期延期」・「霞ヶ関解体」「被曝被害農林水産物全額東電買取り補償」を公約にしたら既存のすべての政党議員を総選挙で破って国会から駆逐でき、日本を66年ぶりに独立を回復した国として日本国憲法のもとに復興することができるだろう。

いま野にある竹原信一氏や仙波敏郎氏大河原宗平氏たちが新党を作って総選挙に出馬してくれれば全員既存政党候補を破って国会をきれいにしてくれること間違いなし。もちろん各選挙区に定数分複数候補を立てれば公明党も落選させることが可能だ。

投稿: 通りがけ | 2011年6月 6日 (月) 05時11分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1453913/40236381

この記事へのトラックバック一覧です: 昭和7年総選挙に際しての犬養首相演説:

« 【「大田龍の食べ物学」考 | トップページ | 5.15事件と2.26事件の相似と差異考 »