「文系頭脳の原発批判論」その5、原発から脱兎の如く転換するしかない
2011.6.6日、福島原発事故を見て、ドイツのメルケル政権がそれまでの逡巡を棄て「早期に脱原発へ政策転換を図る方針」即ち「原発廃棄」へと政策転換した。ドイツ国内にある17基の原発すべてを遅くとも2022年までに閉鎖する、旧式の7基は再稼働しないとしている。これは賢明な政治判断であり、当事国の日本が未だに原発続投を姿勢としているのと比べて鮮やかな対比ではなかろうか。これに比べれば日本の優柔不断は度し難い。
付言しておけばドイツは賢い。いつの間にか東西ドイツを併合している。朝鮮半島では南北朝鮮が一時の雪解け太陽路線に入っていたがいつの間にか元の木阿弥に戻って戦争状態を繰り返している。日本で、糸魚川線で東西に国別れし反目する事態なぞ考えられるだろうか。祖国統一できない連中はお粗末としか言いようがない。世界の紛争なぞ意図的故意に造られていると思った方が良い。
もとへ。世界の原発基地数は2010年現在で、1位・アメリカ104、2位・フランス59、3位・日本54、4位・ロシア31、5位・韓国20、6位・イギリス19、7位・カナダ18、9位・ドイツ17、10位・ウクライナ15、11位・中国11、12位・スウェーデン10となっている(詳しくは「原子力発電所」参照のこと)。国際金融資本の影響力の強い国で積極的なことが分かる。日本は3位であり、相当入れ知恵されていることになる。
世界の風力発電GWは2010年現在で、1位・中国42、2位・米国の40、3位がドイツの27、4位・スペイン20、5位・インド13、6位・イタリア5、7位・フランス5、8位・英国5、9位・カナダ4、10位・デンマーク3。日本は出てこない。世界の地熱発電MWは2007年現在で、1位・アメリカ2534、2位・フィリピンの1930、3位・メキシコ953、4位・インドネシア797、5位・イタリア790、6位・日本535、7位・ニュージーランド435、8位・アイスランド172、9位・コスタリカ162、10位・エルサルバドル151。日本は6位。2008年末の太陽光発電の総設備容量はドイツが1位で540万キロワット、2位がスペインで230万キロワット、日本は197万キロワットでドイツのわずか40%弱という状況とのことである。
こういうエコエネになぜ転換できないのか。上記の指表を見ればできない訳がない、やる気がないだけと云うことが分かる。技術的に充分可能であり現に稼働していることを見てとらなければなるまい。遅れを取っている真因が原発利権族の圧力規制によることについては前稿で確認した通りである。してみれば、原発村に寄生する魑魅魍魎を解体し一掃するしかない。大胆な政治能力が問われる所以である。政治家は口先では国民の生活が大事と云う。云いながら反対のことばかりしているのが生態である。つい先日まで菅の政治履歴に食傷してきたが、典型的な道化政治だったであろう。
諸外国の例の中でニュージーランドの電力行政が注目に値する。同国の有電力会社であるジェネシス・エナジー(Genesis Energy)がニュージーランド北島キャッスル・ヒル(Castle Hill)近くでの600メガワット規模の風力発電所建設計画を明らかにしている。今後、詳細な検討を進め、風力タービンや発電所の設計、建設などに関する具体的な計画を2011年半ば頃までに決定する見込み云々。ニュージーランド風力エネルギー協会(New Zealand Wind Energy Association)によると、同国は2009年末時点で511メガワットの風力発電設備を導入。既に発電能力全体の4,9%を占めており、今後も続々と導入計画が進んでいると云う。
他にも世界最大の地熱発電設備を計画している。日本企業の富士電機と住友商事が地熱発電プラントを受注している。地熱発電は太陽光や風力と違って天候や気象条件に左右されない利点がある。ナ・アワ・プルア地熱発電所内の地熱発電プラントが稼働すれば地熱が占める電力比率は14%に高まる見込み云々。Mighty River Powerは8つの水力発電所と4つの地熱発電所などを運営する発電企業であるが、同国の電力の2割弱を発電しているという。ニュージーランドは国を挙げてエコエネに力を入れており、総発電量の57%を水力、11%を地熱、4,9%を風力で賄っている。エコエネが総発電量に占める割合は実に72,5%にも及ぶ。元々原発を導入しておらず、それどころか今や10年間に渡って天然ガスや石炭を燃やす火力発電所の新規建設を禁止している。既に国営発電所で天然ガスを燃料とするものは禁止されており、一般企業にもまもなく適用されるようになる云々。
こういう例は西欧でも見られるのではなかろうか。特にドイツが抜きんでようとしている。してみれば、世界は今や原発組と反原発組が二手に分けれて、それぞれが定向進化し始めていることになる。日本は福島原発事故の深手にも拘わらず原発輸出に向かい始めている。鳩山―菅政権時代の動きであり、安全クリーンのエコエネとして売り出しているが、後々世紀の愚策と判断され、天文学的な国家間賠償に引き込まれる恐れが強い。鳩山―菅派政治のお粗末さは既に見て来た通りである。
これを止めさせるのは主権者の確固とした見識に基づく回天革命運動によるしかない。原発利権組を掣肘し大胆に反原発エコエネに乗り出すしかない。まだまだ言及したいことがあるが、これにてこの稿をひとまず終える。
2011.8.31日 れんだいこ拝
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