« 1972.10.30日、衆議院における自由民主党・桜内義雄の質問に対する田中首相答弁 | トップページ | 1972.10.31日、衆議院における日本共産党・不破哲三の質問に対する田中首相答弁 »

2011年12月 9日 (金)

1972.10.31日、衆議院における日本社会党・堀昌雄の質問に対する田中首相答弁

 堀さんにお答えいたします。

 第一点は、先ほど春日委員長にお答えを申し上げましたが、昨日の成田委員長に対する答弁の中で、憲法に関する問題に対して誤解を招くようなところがございましたが、先ほど述べました通り、世界に類例のない我が国憲法の平和主義を堅持して参りますことは申すまでもないことでございます。こういうことでございますので、御了承を賜りたいと存じます。

 消費者物価について申し上げますと、経済成長の過程で、給与所得者の所得が、消費者物価の上昇を上回る伸びを示し、国民生活の実質的な水準が茶実に向上してきたことは事実でございます。しかし、物価上昇の要因としては、生産性の高い企業の賃金上昇が、中小企業やサービス業など、御指摘の通り生産性の低い部民に波及するということも否定できない事実でございます。こういう状態の中から物価問題が起って参る訳でございます。御指摘の通り、消費者物価の上昇は預貯金を減価させ、あるいは利子、年金生活者等の生活を不安にするというデメリットがございまして、これは物価対策を強力に推進しなければならぬことは、申すまでもないことでございます。

 物価の上昇を抑えるということについては、去年、おととし、5%余の年率でございましたが、今年は4%台の、1%以下低い状態で押さえ得るのではないかということが考えられる訳でございます。しかし、低生産性部門に対する施策を強化致しましたり、流通機構の整備を行ったり、自由化を行ったり、いろいろなものがございますが、やはり前々申し上げております通り、過度に拠点に集中しておるという問題にメスを入れながら、いわゆる日本列島改造を踏まえて消費者問題に十分な施策を行って参りたい、こう考えます。

 第三は、管理価格をやめるべきであるということでございますが、生産性向上の成果が、自由且つ公正な競争を通じて消費者にも還元されることは望ましいことでございます。今後とも管理価格の実態把握に努めるとともに、競争条件の整備等、対策面においても十分配慮して参りたいと存じます。

 公害問題に対して申し上げます。公害対策は、国民の健康生活を守る為、内政上の重要な課題であることは御指摘の通りでございます。関西新空港の問題について御指摘がございましたが、地元及び公共団体の意見等も十分尊重して計画を進めなければならないことは、申すまでもないことでございます。慎重に対処して参ります。瀬戸内海の赤潮対策について申し上げますと、下水道の整備、工業排水の規制等、瀬戸内海に対する十分な調査を行って、赤潮と云うだけでなく、瀬戸内海の汚染に対しては根本的な施策が必要であると考える訳でございます。

 社会保障問題について申し上げます。日本のあ医療の問題はどうかということでございますが、これは、堀さんがお医者さんでございまして専門家でございます。日本のあるべき医療の理想図をかかなければならないことは、人命に関する問題でもございますので、本件に関しては、鋭意努力を続けて参りたいと存じます。第二点の医薬品の問題でございますが、医薬品の特質に鑑み、安全で有効な医薬品を供給し得るよう公的規制を加えており、薬価基準につきましても、市場価格の下落を反映して年々引き下げが行われているところでございます。しかし医薬分業の問題、根本的な問題もございますので、十分検討のうえ、結論を出したいと思います。

 公的年金の併給問題について、堀木訴訟の件について御指摘がございました。御承知の通り、一審で決定しないということで控訴は致しておりますが、問題は別と致しまして、障害福祉年金受給者に対する児童扶養手当の併給問題、これは児童扶養手当についての併給が可能になるよう措置すべきであろうという方向で検討致しております。老人対策につきましては、寝たきり老人に対する援護、就労の場の確保等、十分なる措置を必要とする訳でございますし、医療の無料化等も必要でございますが、堀さんの御指摘は、電話を一台ずつつけたらどうかということでございます。この問題に対しては、まだ十分検討致しておりませんが、せっかくの御指摘でございますので、検討してみたいと思います。

 円対策について、貿管令の発動だけでは実効を上げ難い、輸出税を徴収すべしという御指摘でございますが、これは、政府もこの問題に対して検討致しておったのでございます。ただ、先般の円対策につきましては、輸出課徴金につきましては、引き続いて検討しようと云う立場をとっております。それはなぜかと申し上げますと、西ドイツ等で輸出課徴金制度等を実行したのでございますが、そういう制度をただ実行すると、来年たつと、そのままその部分が平価の切り上げに繫がるというようなこともございましたので、学問的にももう少し検討を必要とするというのでございます。ただ、貿管令の発動というものと輸出課徴金というのは、裏腹の問題でもありますので、これらの問題は、政府、業界におきましても検討を継続しておるということで御理解をいただきたい、こう思います。角をためて牛を殺すということになってはならないのであります。(拍手) これは理論だけを追うことに汲々として、三ヶ月後、半年後に輸出課徴金、輪出税というものが、そのまま円平価の切り上げに繫がるということになってはならないのです。(拍手)

 税の問題に対しての御指摘がございました。法人税は優遇に過ぎるのではないかということでございます。45年度から1.75%の付加税率を徴しておりますので、御指摘の通りでございますが、現在、国税、地方税を合わせて実効税率は45%強になっておる訳でございます。法人税負担のあり方等は、税の全ての問題と合せて検討しなければならぬ問題でございます。直接税、所得税中心から、間接税にどの程度ウェートが変えられるのかというような、税の根本的問題と、時の財政事情等を勘案して検討すべき問題でございます。これはもう堀さん専門家として十分御承知の件でございますので、以上申し述べておきます。

 交際費税につきましては、逐年強化をして参りましたことは、御承知の通りでございますが、来年3月末に現行制度の適用期間が到来を致しますので、大蔵省を中心にして検討を進めております。配当控除につきましては、15%から12.5%に、そして来年から10%に引き下げられることになっておる訳でございますので、これ以上の問題は、税全般の中で勉強すべき問題だと思います。税は検討を必要とするのであります。

 それから政治資金規正法につきましては、せっかくの御指摘がございましたけれども、改正案は、国会に間々提出をされ、廃案になっておる経緯がございますことは御承知の通りでございます。選挙制度、それから政党の問題、政党の在り方、金のかからない選挙等々、今選挙制度審議会で御検討いただいておりますので、その結果を待ちたいと思います。選挙区の是正の問題は、長いこと問題になっておることでございますが、これは、選挙制度をどうするかという問題と定数という問題を切り離してはなかなかできないのでございます。一回、大都市の幾ばくかの選挙区に対して、定数を是正した経緯もございますが、現在選挙制度審議会に於いて審査中でございますし、また、衆参両院を通ずる根本的な選挙制度改善、定数問題、こういうことで検討が続けられておる訳でございますので、この結果を待っていただきたい、こう思います。

 それから、出稼ぎの実態、出稼ぎの投票参加というものに対しては、これは輸送の問題、有給休暇の問題、外国の事例等、さらに勉強する必要があると思いますが、不在者投票制度が積極的に活用が図られねばなりませんし、今の制度は少し面倒な気も致します。これは、お互いがこれらの問題に対しては十分承知しておる問題でございますので、出稼ぎ等が投票に参加できるように最善の道を開くべきだと考えておる訳でございます。以上。(拍手)

|

« 1972.10.30日、衆議院における自由民主党・桜内義雄の質問に対する田中首相答弁 | トップページ | 1972.10.31日、衆議院における日本共産党・不破哲三の質問に対する田中首相答弁 »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1453913/43313736

この記事へのトラックバック一覧です: 1972.10.31日、衆議院における日本社会党・堀昌雄の質問に対する田中首相答弁:

« 1972.10.30日、衆議院における自由民主党・桜内義雄の質問に対する田中首相答弁 | トップページ | 1972.10.31日、衆議院における日本共産党・不破哲三の質問に対する田中首相答弁 »