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2012年12月 5日 (水)

第46回衆院選の構図考

 2012.12.4日、現行憲法下で23回目となる第46回衆院選が公示された。16日投開票までの12日間、全国300の小選挙区と比例代表11ブロック(180議席)の計480議席を争う。現行制度で過去最多となる12党が候補者を擁立し1504名が立候補している。これを、本選挙戦で問われているものは何か及び政党構図、選挙情勢、選挙検証に分けて分析してみたいと思う。本稿はその1、本選挙戦で問われているものは何か及び政党構図を探ることにする。

 早速だが、公示日翌朝の今朝のテレビニュースについて触れておく。NHK、朝ズバは第46回衆院選をそれなりに報道していた。ところがモーニング、特ダネは逝去した中村勘三郎とトンネル事故報道その他に終始し何と衆院選は全く無報道であった。許されることであろうか。容易に新規参加できない免許制として存在するテレビ局は半ば公共的存在であろう。このことを考える時、民放と雖も無報道は容認できない。制作スタッフ、現場責任者は始末書を要しあるいは更迭されるべきだろう。

 モーニング、特ダネが何故に第46回衆院選を報道しなかったのか。これまで大阪維新の会、東京太陽の会につき第3極の動きとして提灯報道に明け暮れ、逆に現実に第3極である生活第一党、その発展的結党である日本未来の党については批判的報道もしくは関心が高まることを恐れるかのようにスル―させて来た。この経緯を思えば、モーニング、特ダネが報道しなかった良からぬ思惑が透けて見えてくる。それを思うと余計に本総選挙の意義と意味について語らない訳には行かない。

 本総選挙の主な政策的争点は1・原発再稼働、2・消費税増税、3・TPPである。これに関連して景気対策、公共事業振興、財政再建、社会保障、憲法改正等々諸政策が絡んでいる。各政党の政策は絵に描いたように連動している。全体的に極右翼的に対応するのが日本維新の会であり、それに準じて右翼的に対応するのが自民党、公明党、民主党、みんなの党、国民新党、改革党、その他である。これを簡略にいえば自公民連合と見なすことができる。対するに左翼的に対応するのが日本未来の党、大地党、社民党、共産党、日本新党である。

 ここで問題は、共産党が政策的には最も近いはずの未来の党の実力者・小沢どんに対して最も戦闘的な訴追派として立ち現われており、ここ4年間執拗に展開されている小沢バッシング派の先鋒的役割を果たしていることにある。大地の党の代表である鈴木宗男バッシングの仕掛け人でもあったことは衆知の通りである。社民党がこれに追随していることも衆知の通りである。これにより、反小沢反鈴木包囲網では、自公民、維新の会、みんなの党、改革、共産、社民が連合していることになる。政策的に自公民連合と対立する部分がかく分裂させられており、これが為に極めて分かりにくい政界構図となっている。

 もとへ。本総選挙の眼目は、2009衆院選で政権与党になった民主党三代政権の信認を問うことにある。次に、衆院解散時に15党前後が乱立し公示日現在で12党に収斂している乱立の帰趨にも注目が集まる。維新の会とみんなの党の撹乱変数があるので現時点で選挙結果を予想するのはいつになく難しいが敢えて挑んでみる。但し票読みは投票直前情勢に譲り遠景から俯瞰することにする。

 民主党は、政権交代後の鳩山、菅、野田の三代政権で示した民主党政治の審判を受ける。三代政権で最も奇妙なことは、政権交代の立役者でありマニュフェスト推進派であり党内を二分する勢力を持つ小沢派を政権に寄せつけなかったことである。むしろ排除し続け、与野党連携して小沢バッシングに勤(いそ)しみ、最終的に離党せしめた。そういう片肺政権たる反小沢政治を敷いてきたところに特徴が認められる。民主党政治は、党内のマニュフェスト遂行派である小沢派を掣肘することにより、政権交代前に国民に約束したマニュフェストを次から次へと反故にしてきた。それどころかマニュフェストでは行政改革後とされていた消費税増税が菅政権時代に指針され、野田政権に至っては政治生命を懸けるとして自公民連合で法案を可決させた。これにより2009政権交代の意味と意義が海の藻屑とされてしまった。そればかりか、三代首相の言葉の軽さ、要職閣僚の資質と能力のお粗末さが次から次へと露呈しており完全に食傷されている。

 これにより「自公こりごり、民主がっかり」なるまことに的確な評が生まれている。2009総選挙では自公がお灸を据えられたが、2012総選挙では民主に大げんこつがお見舞いされることが必至である。この流れはもはや如何ともし難い。これにより、本総選挙の最大構図は、民主党壊滅により消えた議席がどこへ向かうのかに移っている。民主三代政権初代の鳩山は引退を余儀なくされ、菅は落選の危機に喘(あえ)いでいる。共に辞任前の往生際の悪さが評判を落としており同情する者はいない。現首相の野田は千葉4区での当選がおぼつかず重複立候補で当選を図ろうとしている。現役の首相が比例担保するのは2000年の森首相以来であり、前例がない訳ではないがブザマなことには変わりない。

 民主党三代首相に共通する惨(みじ)めさに象徴されるように民主党は崖淵から奈落の底へ落されようとしている。それも尋常の敗北ではなく党そのものが壊滅する自体まで予想される。通常これは党中央の責任であるが、奇妙なことに野田政権派は一向に痛痒に感じていない節が見受けられる。むしろ自公民政権を企図しており、その為の道筋として歓迎している風がある。紛れもない上からの反革命であるが党内は不思議なほどに穏やかである。そういう訳で得心しながらこぞって死の船出に出向いている。滅多と見られない集団自殺劇となるであろう。

 こうした民主の歴史的大敗北が自公を政権復活させることになる。問題は、自民が何議席まで回復するのか、公明党がじり貧傾向を止めることができるのかにある。これを読むに、自民の政権奪還は民主の自滅によりもたらされる棚から牡丹餅式の僥倖であり、自民の党的能力が再評価された訳ではないと云うことである。自民は、2009衆院選で大敗北を期した当時の公約をそのまま提げて臨んでおり、常識的にはあり得ないがあり得ている。それどころか更なる親国際金融資本、対米御用聞き路線を露骨化させている。2009衆院選大敗北を何ら教訓化していないことが分かる。

 公明は既に長らく自民と一蓮托生運動して来ており改めて功罪の審判を受けることになる。ひと頃の全員当選はおぼつかずひき続き退潮することになるだろう。これにより、この党が賢明であるなら、このところの保守化路線の総括を迫られることになろう。

 民主の喪失議席の過半が自民に流れるとしても残りは第3極に向かうことが予見される。そういう意味で第3極に注目が集まっている。現在の第3極は、生活第一、減税日本、亀井新党、みどりの風を合同せしめたオリーブの木運動派の日本未来の党である。順調に推移すれば2極になる可能性が高い。してみれば、こたびの総選挙は第1極として自公民、第2極として日本未来の党と云う新たな政界構図を生み出しそうである。これを日本未来の党から云えば、こたびの選挙は第2極を賭けた闘いであり、生き残ることで次回の政権取り戻しを視野に入れる為の党の橋頭保化の闘いであると云うことになる。そういう意味で負けられない選挙になっている。

 衆院解散以来、マスコミによる鳴り物入りで登場した第3極騒動の主役の日本維新の会はどうだろうか。大阪維新と東京太陽が合同して日本維新の会が生まれたが、公示日前に既に自公民連合より更に右翼的な親国際金融資本体質を露呈して食傷されている。口では愛国を云うが国際金融資本御用聞きの先取りを打ち出しており、単に子供じみた政権狙いだけの野合であることが露呈している。選挙戦でこのことが更にはっきりし取らぬ狸の皮算用に終わるものと思われる。

 もう一つの政党としてみんなの党が存在する。この党は当初は大阪維新の会との連合を策して失敗し、その後、未来との合同も考えられたが拒否し、結果的に単党的に小選挙区制の壁に挑むことになった。善戦するのか埋没するのか帰趨が注目される。

 共産党、社会党は相変わらずの独りよがりの正義運動に耽っている。もはや政権展望そのものを放棄しており、口先だけの正義弁で政治責任事足れりとしているように思える。云うからには政策を実現する責任があるとする観点が微塵もなく、政策の元祖的地位を云うことで他党との差別化を図っている。加えて、自公民体制の裏からの補完に過ぎないガス抜き的本質が認知されつつあり更に退潮を余儀なくされるであろう。その他の諸党として国民新党、新党日本、改革等があるが、衆議院からは姿を消す可能性が強い。北海道に特化して候補者を擁している大地は未来と提携しており着実に議席を伸ばすであろう。

 各党議席は、こういう按配(あんばい)が予想される。その要因をどこに求めるべきだろうか。この本筋が解明されるべきであろうが、マスコミ各社はこれを論評することなく、徒に議席予想、面白選挙区を取り上げてお茶を濁すこのところの傾向がこたびも続くであろう。既にそれぐらいの能しかないということである。以下、れんだいこが素評しておく。

 こたびの選挙戦の貧相さは二大政党の争点のなさに起因している。与党の構図で云えば、民主党の政策が自公のそれと同化してしまっており、政権交代を求めた2009衆院選と比較してみて面白みに欠け単にイス取りゲーム化している。それも民主の方から旧政権派の自公と連合して自公民政権作りに向かおうとしており、そう云う意味で何とも奇妙な構図となっている。これに反発する動きとして第3極が生み出されているが、勝ち上がるのは日本未来の党であろう。歴史の女神は弱き正しき側に微笑む習性を持つからである。

 マスコミはこの間、その日本未来の党を殊更スル―させ、未だ政党としての態を為していない日本維新の会を持ちあげ第3極であるかのように囃してきた。今もその傾向が続いているが、本来なら選挙後に然るべき報道責任が問われることになるであろう。甚だ簡単ではあるが以上を本選挙戦で問われているものは何か及び政党構図考とする。

 補足として、こたびの選挙戦で見えてきたもう一つの興味深い点に言及しておく。小選挙区比例代表並立制の経験則によりもたらされたものであろうが、比例保険による惜敗率による復活当選狙いが全盛化している。これがこたびの選挙の特徴である。但し各党に微妙な違いが認められるので確認しておく。

 全体に現役議員全員が比例保険を掛けている。一見合理的であるように思われるが現役優先、新人不利の新陳代謝を抑制する対応でしかなかろう。その昔は党の代表ないしは閣僚的要職の者、実力者は選挙区候補としてのみ登場し、当選に自信を示していたが様変わりしている。政権与党の民主党は、首相、閣僚始めとして全員が比例保険に加盟している。首相の比例担保は例がない訳ではないが珍しい。

 これに対して自民総裁の安倍、幹事長の石破、小泉青年局長ら5名が重複立候補を辞退している。自民党の比例単独候補は49人に上るのに対し民主党はわずか3人であり、民主党が現役優先に大きく傾斜していることが分かる。他にも未来の一兵卒の小沢どん、みんなの党代表の渡辺が選挙区のみ候補として落選の危険を引き受けている。

 栃木3区から立候補する渡辺みんなの党代表は次のように自負している。「重複立候補はしない。生きるか死ぬかの選挙だ。落ちれば当然、政治家を辞めるし、落選して党首もやってられない」。こういう美学に選挙民が応えるであろう。

 公明党は選挙区議員と比例区議員を分け、選挙区議員全員が背水の陣を敷いている。公明が重複を認めないのは03年以降、4回連続となる。敢えてそういう厳しさを引き受け伝統化させていることが分かる。これに対して何とも甘い対応をしているのが維新の会代表の石原と共産党の志位である。維新の会は他にも中田前横浜市長、東国原前宮崎県知事を比例ブロック単独1位にしている。これらの者は比例区専任で選挙区に出馬しない。端から御身安泰を図っている姑息さが分かる。党の要職者が選挙区からはいあがり、当選するかどうかの危険を賭けて率先垂範する美風はない。妙なところで悪知恵が一致しているが、選挙通から見ると咬ませ犬の裏の習性が透けて見えてくる。

 http://www.marino.ne.jp/~rendaico/jinsei/

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