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2013年12月 4日 (水)

日本神道考その6

 日本神道は、暦のこういう大綱の中で年間行事を巧みに配置している。巧みとは、季節の循環に合わせ、人の成長の折節に合わせ、最も良かれの時期を見定め行事化し、教本によってではなく自然に感化することを言う。暫しこれを確認する。

 1月、親族が互いに往来し仲睦まじく宴をする月であるから「睦月」(むつき)と云う。新年は正月から始まる。この期間中、正月休みがとられ心身を革める。人々は神社仏閣を詣でご本尊に向かって元旦の計を誓い祈る。これを初詣でと云う。年賀状をやり取りし年始挨拶をする。この時、極力親族一同が寄り顔合わせする。戸口には門松を飾り、家中では家族一同でお屠蘇(おとそ)を頂き、お餅とおせち料理を食べる。これらにはそれぞれ深い意味が込められている。それが分からなくとも体感するように配慮されている。大人と子供それぞれに様々な正月祝い行事が用意されている。初夢、書き初めの倣いがある。正月休みが明けると御用始めとなり鏡開き、蔵開きする。新年行事を終えた頃合いの7日、七草粥を食べる。14日、成人式の日が来る。この期間、雪国ではスキーが盛んになる。

 2月、寒さのために更に着物を重ねて着るので「衣更着」の意味から「如月」(きさらぎ)と云う。3日、節分となり「鬼は外、福は内」の豆まきをする。この時分までは雪が舞い各地で雪祭りが行われる。札幌雪祭りが5日から11日まで行われる。11日、建国記念の日。14日、バレンタインデー。この時期まで雪国ではかまくらの風習がある。

 3月、草木がいよいよ生い茂る月という意味で「弥生」(やよい)と云う。雪解けが始まる。3日、桃の節句と雛(ひな)祭りを迎える。この行事には女の子のすくすくした成長を見守る気遣いがある。17日頃、春の彼岸を迎え、20日、春分となる。この日を境に日中の日が次第に長くなる。この日、ぼた餅を食べる習慣がある。中旬頃、つくしが採れ始め、梅が咲き、下旬頃、桜が咲き始める。たけのこが出回り始める。この頃より春の旅行シーズンとなる。高校生の春の甲子園野球がある。

 4月、卯の花が咲く「卯の花月(うのはなづき)」を略して「卯月」(うづき)と云う。れんげを始めとする草木が芽生え始め各地で花祭りが行われる。8日が花祭りの人なっている。学校も新学期、会社も新入社員を迎え転勤シーズンになる。中旬よりつつじが咲き、わらびが採れる時期になる。この時期から5月にかけて春の結婚シーズンとなる。恐らく子作りに向いた季節と云う意味だろう。

 5月、早苗を植える時期「早苗月(さなえづき)」を略して「皐月」(さつき)と云う。立春から数えて88日目の2日頃、八十八夜を迎える。5日、端午の節句の子供の日を迎え鯉幟りを飾る。この日、柏餅やちまきを食べる習慣がある。この行事には男の子のすくすくした成長を見守る気遣いがある。この前後に長期休暇が取られる。現在ではゴールデンウィークと云われている。中旬頃よりあやめ、さつき、下旬頃より花菖蒲が咲く。下旬頃よりホタルが飛び始める。

 6月、水の月と云う意味で「水無月」(みなづき)と云う。「無」は「の」にあたる連体助詞と解されている。衣替えとなり夏用衣服を着るようになる。半ば頃、梅雨入りする。この頃、紫陽花 (あじさい)が咲く。21日頃、夏至となる。この日が一番日中の日が長く、この日を境に次第に短くなる。下旬頃より産地のスイカが順に出回り始める。

 7月、書に親しむのに都合の良い時期であることから「文月」(ふみづき)と云う。初夏を迎える。7日、七夕飾り。行事の終りに灯篭流しが行われる。初旬頃よりせみが鳴き始める。ひまわりが咲き、海水浴が始まる。人が海に山に出かけるようになる。土用の丑の日を迎え、うなぎの蒲焼を食す習慣がある。下旬頃より白桃が最盛期を迎える。

 8月、葉が最高に生育して茂る時期であることから「葉月」(はづき)と云う。高校生の夏の甲子園野球が始まる。中旬の15日前後にお盆休暇となる。この時、いろんなお盆行事が行われる。この時期の休暇は、連日の猛暑で疲れた体の骨休みをさせよのメッセージが込められていると思われる。お盆明けより秋風が漂うようになる。下旬頃より鈴虫やこうろぎが鳴き始める。ぶどうが出回り始める。

 9月、日増しに夜が長くなるので夜長月の意味で「長月」(ながづき)と云う。夏の終りと共にせみが鳴くのが終る。9日、重陽(ちょうよう)の節句。菊祭りの季節となる。栗が出始める。秋の旅行シーズンとなる。11日頃、二百二十日となる。16日、敬老の日。20日頃、秋の彼岸を迎え、23日、秋分となる。この日、おはぎを食べる習慣がある。下旬、コスモスが咲き始める。この月から10月にかけて稲の収穫期に入り新米が取れる。この頃から10月の満月が一年を通じて最も美しく、中秋の名月の観賞が行われる。ススキを飾ると風情を増し、月見団子、栗ごはん、豆を食べる風習がある。この頃より秋の旅行シーズンとなる。

 10月、日本中の神様が出雲の国(島根県)に集まり会議を開き、他の国には神様がいなくなってしまうことから「神無月」(かんなづき)と云う。神様の集まる出雲の国では「神在月(かみありづき)」と呼ぶ。衣替えとなり冬用衣服を着るようになる。この頃、各地で神輿やだんじりが引き出される秋祭りが行われる。マッタケが出回る季節となる。魚が実入りの多い時期となる。27日より11月9日まで読書の秋にもなる。下旬頃、柿が出回り始める。この時期が秋の結婚シーズンとなる。恐らく春のそれと共に子作りに向いた季節と云う意味だろう。

 11月、霜が降りる頃であることから「霜月」(しもつき)と云う。3日、文化の日。7日頃、立冬。15日は七五三。この行事には子供のすくすくした成長を見守る気遣いがある。中旬頃、熊が冬眠に入り始める。23日は勤労感謝の日。この頃より紅葉が美しくなる。

 12月、師さえもが忙しく馳せる月と云うことから「師走」(しわす)と云う。紅葉が次第に深まり、寒冷地では雪が降り始める。22日頃、冬至となる。この日が一番日中の日が短く、この日を境に次第に長くなる。新酒が出回り始める。忘年会シーズンになる。23-25日、クリスマスを迎える。年の暮れ近くになると餅つきが行われ神棚に供える。仕事の御用納めとなり、大祓いする。大晦日の日、昔はNHKの紅白歌合戦が華を添えた。日本伝統食のそばを食べ年越しする。いよいよ新年寸前になると除夜の鐘を撞き耳目を洗う。

 このほか、十分には書ききれなかったが四季の折々、人の成長の折々に加えて様々な文化的社会的政治的意味合いの行事と休日が加わっている。但し、基本はこの四季の移ろい行事に上乗せされていると知るべきだろう。これに加えて、共通行事にはならない個人行事がある。既に記したもの以外に誕生祝い、入学祝い、元服、卒業祝い、見合い、結婚、子供の出産祝い、厄払い、葬式等がある。氏子としての用事、お見舞い等もある。

 興味深いことは、これらの行事に神道と仏教が深く関わっていることである。そしてそれぞれが住み分け的に共催していることである。これらの定着した行事は日本人が獲得した歴史の叡智と云うべきではなかろうか。人の生き死にのうち誕生-成長面を神道が、死亡面を仏教が主催し、その間をそれぞれが任意に管掌しているように思われる。これも折り合いの叡智だろう。今日ではこれに儒教、道教やキリスト教的要素のものも加えられ、これまたそれなりに和合している。これも日本教らしいところである。

 以上を「れんだいこの日本神道考その6」とする。誰か膝を叩いてくれる一人でもあれば本稿の本望である。 

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