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2013年12月 3日 (火)

日本神道考その4

 興味深いことは、出雲大社を総領とする大社系古神道と伊勢神宮を総領とする神宮系新神道では祭祀様式が違うことである。恐らく意図的故意に何から何まで対比的になっている。これを確認しておく。

 祭神の違いは当たり前である。即ち、出雲大社はスサノウ命を含めた大国主命を祀る。伊勢神宮最高格の内宮は天照大御神を祀る。両社では神社の建築様式が違う。出雲大社は大社造り、伊勢神宮は唯一神明造り、住吉大社は住吉造りとなっている。大社造りの構造は掘建柱・切妻造・妻入であり、屋根には優美な曲線が与えられている。直線的な外観の神明造りや住吉造りと大きく異なっている。出雲大社は入り口が向かって右にあるのも大きな特徴である。

 注連縄の巻き方も違う。出雲大社の注連縄は左巻き、伊勢神宮の注連縄は右巻きである。拍手の打ち方も違う。出雲大社の礼拝の仕方は「二礼四拍手一礼」であるが、伊勢神宮の礼拝の仕方は「二礼二拍手一礼」である。礼は拝とも云う。れんだいこはこの程度しか知らないが、細かいところでも様々に違いが認められるはずである。祝詞(のりと)も大祓祝詞は共通していると思われるが、それ以下の事情祝詞は文意も違うのではないかなと思っている。式年遷宮が出雲は60年、伊勢は20年と云う違いもある。参道から本殿に至る感覚も、出雲は暖かく母親に抱かれる感があるのに対し、伊勢では厳かで父親に相対する格式を感じる。

 その他、境内地に於ける巨木植栽は共通しているが霊山、巨岩、奇岩は出雲系の特徴のように思われる。出雲系の本質が神体山信仰から始まってきたことの証拠と思われる。この神体山信仰は、仏教伝来後は山伏修験道を生み出し、古神道と新神道のみならず仏教とも折り合いをつけて行くことになる。

 ところで、出雲大社は出雲系単独の本殿、摂社、末社その他の社で一系的に構成されるのに対し、伊勢神宮は皇室の祖神とされる天照大御神を祭神としている新神道系の内宮を核とするも、豊受大御神を祭神とする古神道系の外宮をも正宮(しょうぐう)として鼎立させている。即ち新神道と古神道の組み合わせから成る珍しい神社となっている。更に、それぞれが別宮(べつぐう)、摂社(せっしゃ)、末社(まっしゃ)、所管社(しょかんしゃ)を擁し合計125社からなっている。所在地は三重県内の4市2郡に分布する。

 留意すべきは、三重県志摩市磯部町上之郷にある伊雑宮(いざわのみや)の存在である。伊雑宮こそがこの地の元々の一の宮であったと思われる(鳥羽市の伊射波神社(いざわじんじゃ)とする異論もある)。伊雑宮は現在は内宮の別宮となっているが、伊雑宮こそ元々の在地神社であり、そこへ内宮、外宮が乗り込んできたと云うのが史実である。伊雑宮は「天照大神の遙宮(とおのみや)」と呼ばれ、祭神として天照(坐皇)大御神御魂 (あまてらします(すめ)おおみかみのみたま)を祀っている。境外所管社として五穀豊穣の神とされる大歳神(おおとしのかみ)を祭神とする佐美長(さみなが)神社を持つ。伊雑宮の周囲には浦島太郎や海女が龍宮へ行ったという伝説がいくつかある。古神道由緒を示していることになる。

 これらを踏まえると、伊勢神宮は、元々に於いて旧古神道系の伊雑宮があり、そこに新神道系の内宮(皇太神宮)が設けられ、続いて新古神道系の外宮が設けられと云う風に三位神社群から構成されていることになる。分かり易く云うと旧古神道(熊野神道)、新古神道(出雲神道)、新神道(伊勢神道)の総領宮から成る神社デパートと云うことになる。これが伊勢神宮の所以たる特徴である。且つ内宮が大和王朝来の歴代天皇制の護神的役割を果たしているところから日本神道の総元締めとして君臨している。

 但し付言しておけば、出雲系が一社で構成されていることが伊勢神宮の三派構成に比して格下と云う訳では決してない。却ってすっきりしていると云う面もあるので一長一短であろう。ここは留意を要するところである。

 かく日本神道は大きく見て出雲系と伊勢系が平和共存体制下で営為しつつ今日に至っている。これが日本式宗教界、精神界の特質である。以上を「れんだいこの日本神道考その4」とする。誰か膝を叩いてくれる一人でもあれば本稿の本望である。

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