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2014年6月13日 (金)

日本列島改造論 抜粋その5

 「大量輸送時代の総合交通体系」。明治以来、わが国の交通政策は鉄道中心に置かれて来た。これは点と線の交通政策であり、大都市拠点主義はここから出発した。しかし、これから必要なのは、点と面の交通政策であり、その新拠点は道路と鉄道、海運、航空の結節点である。(117P)

 「国土開発と地方線の再評価」。もう一つ、触れておかねばならないのは日本国有鉄道の再建と赤字線の撤去問題である。国鉄の累積赤字は47年末で8100億円に達し、採算悪化の一因である地方の赤字線を撤去せよという議論がますます強まっている。しかし、単位会計で見て国鉄が赤字であったとしても、国鉄は採算と別に大きな使命を持っている。明治4年にわずか9万人に過ぎなかった北海道の人口が現在、520万人と60倍近くに増えたのは鉄道のお陰である。すべての鉄道が完全に儲かるならば民間企業に任せればよい。私企業と同じ物差しで国鉄の赤字を論じ、再建を語るべきではない。都市集中を認めてきた時代に於いては、赤字の地方線を撤去せよという議論は、一応説得力があった。しかし工業再配置を通じて全国総合開発を行う時代の地方鉄道については、新しい角度から改めて評価し直すべきである。

 北海道開拓の歴史が示したように鉄道が地域開発に果たす先導的な役割はきわめて大きい。赤字線の撤去によって地域の産業が衰え、人口が都市に流出すれば過密、過疎は一段と激しくなり、その鉄道の赤字額をはるかに越える国家的な損失を招く恐れがある。豪雪地帯における赤字地方線を撤去し、全てを道路に切り替えた場合、除雪費用は莫大な金額に上る。また猛吹雪の中では自動車輸送も途絶えることが多い。豪雪地帯の鉄道と道路を比較した場合、国民経済的にどちらの負担が大きいか。私たちはよく考えなくてはならない。しかも農山魚村を走る地方線で生じる赤字は、国鉄の総赤字の約1割に過ぎないのである。(123P)

 「幹線自動車道は1万キロに」。特に表日本と裏日本を結び、日本列島を輪切りにする横断道路の建設に集中的に力を入れるべきだ。これまで、南北に長い日本列島の時間距離を短縮するため、道路投資が縦貫道路の建設に傾斜したのは止むを得なかった。しかし、これからは表日本と裏日本の格差を解消と内陸部の農山村地域を開発するために‘日本横断道路’への先行的な投資を強力に進めなければならない。昭和60年までに少なくとも1万キロメートルの高速道路が必要だというのは、こうした理由からである。百万キロメートルの道路網は、このような高速道路のネットワークを骨格として末端の生活道路に至るまで、秩序ある体系が確立されなければならない。これには、道路機能の分化と新しい道路規格を確立することである。(128P)

 「近畿、西日本を一体化する本州四国連絡橋」。本州と四国を結ぶ連絡橋は神戸-鳴門、児島-坂出及び尾道-今治の三橋とも昭和60年度までに完成させる予定である。中でも明石-鳴門ルートに建設する明石海峡大橋は、完成すれば世界最長の吊橋となる。本州四国連絡三橋は四国の390万人の住民に対してだけ架けるのではない。新幹線鉄道や高速道路と繋ぎ、日本列島の3分の1を占める近畿、中国、四国及び九州を一体化し、広域経済圏に育て上げる為に架橋するのである。昭和30年から15年間に35万人も減った四国の人口は、これらの架橋によって、やがて600万人に増え、800万人に増加しよう。本四連絡橋を三橋とも架けるからといって過大投資と云うのは当らない。(131P)

 本四連絡三橋の真ん中の橋、児島-坂出ルートには松江、岡山、坂出、高知を結ぶ中国四国新幹線鉄道を通したい。この地域は中国山脈、瀬戸内海、四国山脈と云う三つの地形的な障害によって分断され、四つの異質な経済圏を形成してきた。中でも山陰と四国山脈の南が経済的に立ち遅れた。児島-鳴門ルートは中国四国横断自動車道と新幹線鉄道を通すことによって、バラバラの経済を有機的に結合させ、新しい発展に進ませるだろう。(135P)

 もう一つは将来、九州・四国新幹線鉄道を建設するとき、佐田岬から佐賀関海底トンネルに石油パイプラインを併設することも考えられる。中国と四国の西部を本四連絡橋の尾道-今治ルートで結び、さらに九州と四国を新幹線鉄道で繋ぎ、必要に応じてこの二つのルートに石油と水のパイプラインを配置すると、安芸灘、周防灘から豊後水道にかけて環状の貨客輸送路ができあがり、西瀬戸総合開発を促すことになる。尾道-今治の道路橋に水のパイプラインを敷けば、大島、大三島など瀬戸内海の離島に水を供給できるし、観光客の増加に伴う水需要の増大にも応えることができる。このように本四連絡三橋は近畿、中国、四国、九州の経済圏を有機的に結合して広域的な発展を可能にするもりである。「四国は日本の表玄関になりうる」と云う私の主張は決して誇張ではない。(137P)

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