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2014年6月13日 (金)

日本列島改造論 抜粋その2

 「近代日本を築いた力」。このような工業化の進展は、国民総生産と国民所得の増大をもたらした。私はこうした日本経済の流れを通じて次の原則を見出すことができる。その一つは、「国民総生産と国民所得の増大は、一次産業人口比率の低下と二、三次産業人口比率の増大及び都市化に比例する」と云うことである。(略)次の原則は、「人間の一日の行動半径の拡大に比例して国民総生産と国民所得は増大する」と云うことである。それは東海道を昔のように歩いていた時と、明治の半ばに東海道線が全通して汽車で20時間、二日間の行程を要した時と、今のように自動車、新幹線、ジェット機を利用して短時間で行けるようになった時とを比べれば、人間の一日の行動半径が拡大すればするほど、経済が拡大したことで明らかである。このような現象からみて「地球上の人類の総生産の拡大や所得の拡大は自らの一日の行動半径に比例する」と云う見方もできるわけである。かくして工業は集積の利益を求めて発展し、それによって国力、経済力が拡大した。(28P)

 「戦後経済の三段跳び」。ところが25年6月、挑戦動乱が勃発して内外の経済情勢は一変し、輸出と特需の急増で日本経済は生産拡大、近代化への道を歩み始めた。生産水準も上昇し、同年10月には早くも戦前の水準を越えた。27年8月、日本は世界の為替相場の安定と為替取引の自由化推進を目的として設立されたIMF(国際通貨基金)に加盟が認められた。かくてわが国はIMF14条国として、国際社会復帰の第一歩を記し、20年代の復興経済はここに終わりを告げた。(略)30年代は高度経済成長の時代である。世界的な景気上昇を背景としてわが国の輸出は増大し、農村の豊作と相まって「インフレなき拡大」と「数量景気」が謳歌された。(略)31年度の経済白書が「もはや戦後ではない」と書いたのは未だに記憶に新しい。(30P)

 わが国の経済の急激な成長を待ち受けていたかのように、38年2月、IMF理事会は、「日本は国際収支を理由として経常取引などでの為替制限を継続する資格は認められない」として、わが国に対しIMF8条国への移行を勧告した。この勧告に従い翌年4月、日本はIMF8条国となった。これと前後してわが国は、資本取引の自由化を原則とするOECD(経済協力開発機構)に加盟が認められた。こうしてわが国は名実共に先進国への仲間入りを果たし、40年代の開放経済体制のもとで国際経済の荒海に乗り出すことになった。42年6月、わが国は貿易自由化の基本方針を決め、同年7月、第一次自由化に踏み切った。その後2回にわたる自由化を経て46年8月、最終ラウンドとも云うべき第4次自由化を実施した。(略)このような経過を辿りながら戦後の日本経済は平均して実質10%の成長を続けた。(32P)

 「許容量を越える東京の大気汚染」。これまで人類は「自然から資源を得て、これを生産、消費し、廃棄物を自然へ排出する」と云う自然の循環メカニズムの中で生きてきたし、その自浄作用を通じて自然が維持されてきた。私たち日本人もその例外ではない。ところが30年代に始まった経済の高度成長の過程で人口、産業の都市集中が進み、自然の浄化作用を越えた環境汚染の問題が発生してきた。(35P)

 「一寸先はやみ、停電のピンチ」。こうした計画の実施がおくれているのは、火力発電所の立地の場合は、重油の使用による硫黄酸化物の発生で大気が汚染したり、温排水で漁民の生活が脅かされるなど地域住民の反対によるものである。原子力発電所の場合も、放射能の安全性に対する疑問や自然環境が壊されるという心配、さらに温排水で魚が取れなくなるという漁民の反対などから立地が困難になっている。このような問題を解決しない限り、電力需給のひっ迫を解消することは困難である。(40P)

 「過疎と出稼ぎで崩れる地域社会」。東北、北陸の米作単作地帯を中心に全国的に広まっている農村の出稼ぎ問題は、このような理由によるものである。春秋の農繁期を除くと、農村では年寄り、主婦だけで日常の生産や社会活動をするしかない。例えば新潟県には女性だけの消防隊さえ作られている。農村に若者の姿が減り、出稼ぎで夫婦が長い間、離ればなれに暮らし、年寄りが重労働にあえぎ、医者の姿も見えない農村から、明日の日本を築き上げるエネルギーがどうして生まれるだろうか。(57P)

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