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2014年6月13日 (金)

日本列島改造論 抜粋その4

 「開発の余地ある日本の国土」。わが国では今、東京、大阪、名古屋の各半径50キロメートル圏を合わせて国土全体の1%に満たない地域に総人口の32%が住んでいる。日本は可住面積が狭いといってもこれからの地方開発によって国民の住む地域はもっと広げることができる。(81P)

 「大型化するコンビナート」。何よりも重要なのは、これらのコンビナートは公害調整、環境保全、災害防止など現場で働く人々や地元で暮らす人々の安全と福祉を最優先に考えて、単に生産のためだけでなく、ゆとりのある用地の中で十分に空間をとったレイアウトをしなければならないことである。そうなるとコンビナートの用地規模はますます広がらざるを得ない。(86P)

 「環境整備の仕組みを確立」。住民の生活環境を破壊せず、自然を注意深く保全しない限り、今後の新しい地域開発は前進できない。工業の公害問題をどう解決するかは、コンビナートの建設だけではなく、企業の存亡にも繋がる重大なテーマとなってきている。数年前までは地方の工業開発のネックは主に地価問題であった。ところが最近は「開発とは破壊である」、「産業の発展はご免だ」と云う声が高まっている。私もそうした声は大いに理由のあることだと思う。しかし、その議論は開発のデメリットを強調する余り、しばしば開発のメリットを見落とすことが多い。また「開発か保全か」、「産業か国民生活か」と云う直線的な議論に飛躍しがちである。(96P)

 「これからの電源立地」。これからの電源立地の方向としては、大規模工業基地などに大容量発電所を集中的につくり、大規模エネルギー基地の性格を合わせて持たせるようにしたい。電源開発株式会社を中心にいくつかの電力会社が参加し、火力発電所や原子力発電所を共同で建設し、そこで生みだされる電力を大規模工業基地で使う。同時に、基幹的な超高圧送電網をつくって消費地に広く配分し、融通する方向も考えたい。(101P)

 新しい火力発電所や原子力発電所の建設に地元の反対が強いのは、まず、大気汚染や放射能の危険を心配するからである。冷却に使った水を捨てるときに河川や海水の温度が上がり、ノリや魚が取れなくなると云う漁民の反対もある。殺風景な発電所ができては美しい自然の景色が破壊されるという主張もある。元々発電所は従業員が少なくて済むので、地元の雇用を増やすにはあまり役に立たない。その上発電した電力は、ほとんど大都市へ送電される。結局、地元は得るものが少なくて、公害だけが残ると云うのが地域住民の言い分である。そこで、まず、第一に考えたいのは、公害の徹底的な除去と安全の確保である。具体的には、集塵装置はもちろん重油脱硫、ガス化脱硫など脱硫技術の開発や利用を進め、冷却水の排水温度も規制することである。原子力発電所の放射能問題については、海外の実例や安全審査会の審査結果に基づいて危険がないことを住民が理解し、納得してもらう努力をしなければならない。(102P)

 しかし、公害をなくすというだけでは消極的である。地域社会の福祉に貢献し、地域住民から喜んで受け入れられるような福祉型発電所づくりを考えなければならない。たとえば、温排水を逆に利用して地域の集中冷暖房に使ったり、農作物や草花の温室栽培、または養殖漁業に役立てる。豪雪地帯では道路につもった雪をとかすのに活用する。さらに発電所をつくる場合は、住民も利用できる道路や港、集会所などを整備する。地域社会の所得の機会をふやすために発電所と工場団地をセットにして立地するなどの方法もあろう。次項で述べるインダストリアル・パークと同様の立地手法でエネルギー・パークづくりも考えたい。急がばまわれである。(103P)

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