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2016年7月25日 (月)

NHK「ロッキード事件40年目の真実」特集番組のお粗末考

 2016.7.23-24日、NHKスペシャル「未解決事件シリーズ」の一つとして戦後最大の疑獄事件と云われるロッキード事件が取り上げられた。このことはゼツ良い。「ロッキード事件-40年目の真実」と題して二夜連続の三部作で放映された。このこともゼツ良い。問題は中身である。私は大いに注目し固唾を呑んで見守った。しかしながら結論から言うと、「全くの駄作」でしかなかった。その「これが40年目に判明した真実だ」の観点はむしろ反動的なものだった。そのことに対する怒りを熱の冷めぬうちに記しておく。

 「ロッキード事件-40年目の真実」とあるからには、これまでの「敵役角栄論」報道を自己批判し、「見直し角栄論」への転換があるものと思った。ところが実際には、「角栄の5億円授受」を肯定し、実はそれは民間航空機購入賄賂ではなく軍用機購入働きかけの賄賂だったと書き換えているに過ぎない。こんな推理に導く為の「40年目の真実」に付き合いさせられるとは情けないこと限りない。俗に噴飯ものと云う。

 こうなると、「50年目の真実」に期待するしかない。実は、角栄の5億円授受は冤罪で、角栄自身が徹底抗戦したのは当然だった。真実は児玉-中曽根派の犯罪であり、それを日米合作で角栄犯罪に仕立て上げて行ったのが日本版ロッキード事件の特殊性である。これぐらいのことは云って貰わんと私の怒りが収まらない。

 とはいえ、功績がない訳ではない。一つは、第一部で、角栄贈収賄5億円よりも金額が4倍多い児玉関連21億円の行方の未解明問題につき、相当程度に詳しく検証していたことである。「結局は未解明に終り今日に至っている」不自然さを衝いているのは正しい。NHKにこれ以上期待するのは無理かもしれない。敢えて腰抜けぶりを晒しているのかもしれない。その後を受け継ぐ者が、児玉の政財界交遊で最も近いところにいた中曽根-ナベツネラインの果たした役割に切り込むが良いとメッセージしているのかもしれない。と、こうまぁ善意に解しておく。

 立花を登場させたのも正しい。それは何も聞き飽きた立花論を聞かせてもらうところに意味があったのではない。現在の立花の老醜を際だたせていたところに意義がある。マスコミはこの御仁を知の巨人とおだて上げ、ロッキード事件の節々で語らせてきたが、角栄が失脚終焉するに応じて立花までもが御用済みとなり歴史のお払い箱の中に使い捨てられてしまった。今でも減らず口を叩いているが、云えば云うほど知の虚人でしかないブザマさを晒している。そういう意味で、現在の立花を登場させ映像化させたのは値打ちものであった。

 第二部で、東京地検ロッキード事件特捜部の捜査を指揮した吉永祐介を善人検事に仕立て上げ、その苦悩を語らせている。これは臭い芝居でしかない。真実は、角栄を被告人に仕立て上げる虚構のシナリオに協力する見返りの出世甘言に飛びついた機会主義者でしかなかったのではないのか。現在に至る司法の腐敗は、この時に甘言に飛びついた連中による「法の番人たちによる上からの法崩し」に始まっているのではないのか。「ロッキード事件-40年目の真実」はこのことを片鱗たりとも伝えていない。と云うか逆に描いている。こういう場合、この調子で書かれたものを読めば読むほど阿呆になるし阿呆にされてしまうであろう。

 第三部で、どういう展開、結末になるのか期待させた割には愚昧なものを見せつけられ聞かされてしまった。曰く、「角栄に渡った5億円はロッキード社の民間機ではなく軍用機受注働きかけへの接待金だった」云々。こういうすり替えは酷過ぎるし後味が悪い。NHKよ、角栄が不退転で死ぬまで争った男の名誉、メンツ闘争に対して余りにも侮辱であり、ぶしつけ過ぎる推論ではないのか。なんでそんなに「角栄の5億円授受」に拘るのだ。児玉-中曽根-ナベツネ派の21億円授受に対してはあっさり尻尾巻くのに比してしつこ過ぎやしないか。

 以上、一応のことを言うことができた。以下、れんだいこがロッキード事件史全体のキモの部分を取り上げて衝撃を与えておく。中曽根の揉み消し依頼の件は別の機会に論じる。

 1976(昭和51).2.4日にロッキード事件が勃発し、7.27日に逮捕されるまでの間の6.24日、三木首相がプエルトルコで開かれる第2回目の主要先進国首脳会議に向けて出発した。6.30日、帰路ワシントンに詣で、日本側から三木首相、宮沢外相、アメリカ側からフォード大統領、キッシンジャー国務長官、レビ司法長官が出席する首脳会談をしている。

 この時の会議資料が非公開で国家機密扱いとなっている。公文書保管所のスタッフは今日においても「その記録は国家安全保障上の理由で公表されない」としている。公文書公開先進国の米国が今に至るも公開できないのは何故なんだとして取材する者、社がいない。

 れんだいこには次のことが透けて見えてくる。1、ロッキード事件を、児玉-中曽根犯罪に関わるP3C哨戒機などの軍用機の解明に向わせない。2、代わりに角栄に容疑を被せ逮捕まで漕ぎ着ける。その為に民間機購入のトライスター疑惑をデッチ上げる。3、米日両国はこのシナリオに基づく捜査進展に総力を挙げ全面提携する。4、これを機会に角栄及び田中-大平派のハト派政治権力の徹底的解体に向かう。公開できないのは、この陰謀的申し合わせが露見されるのを恐れているからではないのか。しかもこの申し合わせが相当に日本側に対して屈辱的な命令口調のものになっており、三木がペコペコし過ぎているからではないのか。

 1997年に公開されたキッシンジャー・レポートは、この時、三木首相と「ロッキード事件についての全般的な意見交換」をしたことを伝えている。興味深いことは、田中首相に対する絶賛且つ警戒的レポートとは対照的に、三木評は「彼の政策はしばしば詳細に欠け、実質的な内容より広報宣伝的要因から生まれる場合が多い。三木が成功した分野は数少ない」と軽視酷評されていることである。そういう三木のアホウさをうまく利用せよの魂胆が透けて見えてくる。

 事実、アホウの三木は、7.3日、サンフランシスコで同行記者団と懇談した際、キッシンジャー権力の後押しを得た強みを背景に、「ロッキード事件が解明されない限り今後の政治日程は立てられない」、「『三木下ろし』には断固戦っていく」と述べている。この時より、「ロッキード事件の徹底究明に自分の政治的生命を賭ける」と強気に出ることになった。これがマスコミ言うところの「クリーン三木」の裏の顔である。当時も今もマスコミのオツムはこの程度のものだったんだな。

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